
5月17日(土)と18日(日)の二日間、佐倉市宮本にある羽根井庭園で「ガーデン・オープン・チャリティ」が開催されます。
「ガーデン・オープン・チャリティ」は、1927年、イギリスのチャリティ団体「ザ・ナショナル・ガーデンズ・スキーム」が『庭園からのチャリティ』を呼びかけたのが始まりです。
日本では、姉妹団体の「社団法人N.G.S.ジャパン」が、国内における庭園福祉活動を主催しており、登録庭園の一つである羽根井庭園で、今春も一般公開が行われます。



羽根井庭園は、羽根井禎敏さんと和子さん夫妻が手掛ける庭園です。
約700坪の敷地に和風と洋風の庭園を中心に構成。隣接する工業団地の開発や農業の後継者不足等を鑑み、自分たちの土地だけでも緑を守ろうと、約50年前から畑だった土地に木や植物の苗を植え、散策道を施すなど、少しずつ庭作りに励んできました。ともに旅行好きなこともあり、旅先で出会った木や友人知人などから貰い受けた花の苗などを植栽。年月を経て大木となった木々や四季折々咲き誇る花々など、木と花の融合が美しい庭園です。また、禎敏さんと息子さんが廃材などを活用して作った幾多の建造物が庭園の魅力と景観美を高めます。





洋風庭園では、シンボルでもある手作りの小屋を始め、華やかなバラに目を奪われます。バラは50種類以上の植栽を誇り、こぼれるように咲き乱れるモッコウバラや中国雲南省の麗江路で発見された「リージャンロードクライマー」、佐倉市の堀田家から分けられた品種不詳の貴重な「佐倉堀田邸ミステリーローズ」など、見応え十分です。
ふと空を見上げると、ひらりひらりと葉(苞)が風に揺れるハンカチの木が目に留まります。オランダを訪れた際に観たことがきっかけで植樹。「あちらの葉はもっと大きいのよ」と和子さんが笑顔で話します。散策道の途中にある腰掛けには鏡が設置されており、思わぬ演出に来園者が驚いたり、鏡が映し出す景色も愉しんで貰えたらと、遊び心にも富んでいます。






和風庭園では、門をくぐると新緑が迎えます。春は新緑、秋には紅葉が美しいモミジや50年程前に苗を植え大木に成長した山桜、クロバナロウバイ、シャガなどの花々が表情豊かに息づきます。敷地外には欅の木がそびえ立ち、借景として愉しむのもおすすめ。茶室前の外腰掛けに腰を下ろすと、目の前に広がる情緒に心が落ち着きます。









和風と洋風庭園に加え、今年は3つ目の庭も新たに加わりました。朽ちた白樺の木を活用して作られた柵の向こうには、枝垂れ桜、河津桜などの木々やジャーマンアイリス、カモミールなどが開花。ミステリーローズとモミジの重なりも新鮮です。毎年足を運んでくれる方にも喜んで貰えるようにと、小さな変化に努めています。










和子さんは、「庭も生活も同じフロアの感覚」と表現。作業の手を止め部屋で一息つくように、庭の至るところにテーブルやイスの休み処が設けられています。洋風庭園の小屋で食事を取ることも多く、庭は暮らしの一部であり、春夏秋冬その日その時々の移ろいが心豊かな時間をもたらします。


好きだからこそ構想は尽きず、和子さんのイメージを禎敏さんがかたちにするなど、二人三脚で意のままに創ります。ある日、今まで咲いていなかった場所に花が咲くなど、発見と喜びに溢れる毎日です。




「ガーデン・オープン・チャリティ」には、毎年約250名が来園。県内外や遠方からの来園者も多く、また、車イスの方でも寛いでいただけるよう、散策路を拡張するなど、環境整備にも尽力しています。
庭は人と人とを繋ぐ情報交換の場。ドイツ語で「Garten Grüne Symphonie」と名付けた“緑奏でる庭”で、様々な角度や高さから庭を愛で、心潤うひとときをお過ごしください。17日午前中には、ピアニストによる生演奏が披露されます。また、両日とも、お菓子工房「梛」が出店!バラエティに富んだお菓子をご賞味ください。
入園料の収益金は、能登半島大地震復興支援として、日本赤十字社に寄付されます。


