~ドクター・ラオシーの夢うつつ~【その十四】
投稿日 2021.06.01
春になって日本に戻り、カナダで学んだ実験の知識と技術を駆使して、いよいよラオシーは、本格的に研究を進めていきました。奮闘努力の甲斐あって糖尿病のワンちゃんを細胞移植で治療する実験モデルが完成し、次に、ランゲルハンス島細胞をミニブタから安定的に供給する実験が佳境に入ってきた頃でした。お正月が一段落して、久しぶりに実家に帰省すると誰も居ないのです。置き手紙には、母が体調を崩して入院、父も付きそっているようです。折角の実験が中断しないように両親はラオシーに黙っていたのでした。ラオシーは、あふれる涙をこらえて、中学生のころ読んだ芥川龍之介 “杜子春(とししゅん)” のくだりを思い出しました。仙人の修行をしていた杜子春は、“どんなに辛い目に遭っても声をあげるな ! ”と老仙人に厳命されていましたが、畜生に転生した亡き母親が地獄の鬼に鞭打たれる姿をみせられて、たまらず “ お母さん ! ”と声を上げてしまうのです。ラオシーも仙人になるのは、キッパリやめにして、両親のもとに帰ろうと思ったのです。
ユーカリ血管クリニック
脈管および透析専門医の経験豊富な医師と親切なスタッフが、アットホームな雰囲気で、皆さまのお悩みに向き合います。頚部・胸腹部・四肢の動静脈の疾患(動脈硬化・下肢静脈瘤・静脈血栓症・リンパ浮腫・透析シャント血管)を専門にしております。日帰り治療として、下肢静脈瘤には、血管内焼灼術、医療用接着剤によるグルー治療や硬化療法を、透析シャントには血管拡張術を、いずれも傷跡がなく痛みの少ないカテーテル治療で行っております。