~ドクター・ラオシーの夢うつつ~【その十六】
投稿日 2021.10.01
未明に母が亡くなった朝も、何事もなかったようにラオシーは、大学病院で外来診察をこなしました。帰宅前に主任教授から、“君の母校の藤庵(とうあん)先生から電話が入ったよ。”と、やや不機嫌そうに伝えられ、ラオシーは、“ハア”と頭(こうべ)を垂れたまま、分院外科でお世話になった藤庵先生に連絡を取りました。“実は、今度の学会で、ドイツのSoe(ソウ)教授が来日されるのでね、その案内役を君にお願いしたいのだよ。”ラオシーは、じっと受話器を耳にあてたまま、ベルリンの壁の崩壊した混乱のドイツで、お世話になったSoe 教授の姿を目の奥に懐かしく思い浮かべました。Soe 教授の来日した学会期間中に、ラオシーは、母校の分院外科が統廃合され、血管外科の先生がお辞めになり、その窮状を伝え聞きました。ラオシーのいる新進新鋭の大学病院には、生え抜きの若い先生たちが順調に育っているのに!比べて我が老舗(しにせ)の母校は…?ラオシーは、暗澹(あんたん)たる思いで、不義理を覚悟してまでも退職を申し出て、帰学するほかは無かったのです。 (つづく)
ユーカリ血管クリニック
脈管および透析専門医の経験豊富な医師と親切なスタッフが、アットホームな雰囲気で、皆さまのお悩みに向き合います。頚部・胸腹部・四肢の動静脈の疾患(動脈硬化・下肢静脈瘤・静脈血栓症・リンパ浮腫・透析シャント血管)を専門にしております。日帰り治療として、下肢静脈瘤には、血管内焼灼術、医療用接着剤によるグルー治療や硬化療法を、透析シャントには血管拡張術を、いずれも傷跡がなく痛みの少ないカテーテル治療で行っております。