~ドクター・ラオシーの夢うつつ~【その十八】
投稿日 2022.02.01
岬ゆきのバスに揺られて、僻地の病院まえに降り立つと、海峡にそった浜は、たそがれどきの凪(なぎ)となり、一面、茜色に染まった海を眺めていると、ラオシーは、なぜか“浦島伝説”に思いをはせてしまうのです。浦島さんは、船が難破して流されてきた琉球の少年を家で匿(かくま)って、再び琉球へ戻る船に乗せて帰してあげたのではないかしら。その返礼に浦島は、琉球の王宮に招かれます。琉球は海洋国家ですから、いろんな国との交易や外交のたびに華やかな酒宴が催され、浦島は、その聡明さと人柄が買われて、一生懸命、そのお役を務めたのでしょう。悠久の琉球時間ですから、浦島が故郷に戻ったときは、すでに知る人は亡く、開けてはならぬ玉手箱には、その時差が閉じ込められていたのでしょう。今宵もイカ釣り船の漁火(いさりび)が宝石のごとく海面に煌(またたき)はじめています。
ラオシーもそろそろ病院の当直室にもどる時間が来たようです。 (つづく)
ユーカリ血管クリニック
脈管および透析専門医の経験豊富な医師と親切なスタッフが、アットホームな雰囲気で、皆さまのお悩みに向き合います。頚部・胸腹部・四肢の動静脈の疾患(動脈硬化・下肢静脈瘤・静脈血栓症・リンパ浮腫・透析シャント血管)を専門にしております。日帰り治療として、下肢静脈瘤には、血管内焼灼術、医療用接着剤によるグルー治療や硬化療法を、透析シャントには血管拡張術を、いずれも傷跡がなく痛みの少ないカテーテル治療で行っております。