~ドクター・ラオシーの夢うつつ~【その十七】
投稿日 2021.12.01
卒業以来17年、ラオシーが、久しぶりに足を踏み入れたレンガ積みの医学校は、星霜(せいそう)移り人は去り、まるで“浦島さん”が故郷に戻ってきたようでした。初仕事は、救急外来に運ばれてきた腹部大動脈瘤の手術。なんとか無事にこなすと、徐々に患者さんが増えてきました。ラオシーは、翌年、新設された血管外科の診療部長を任されますが、同時に、風向きが急に変わってきた気配も感じました。平成の御代は、まさに統廃合とリストラの時代で、どこの会社組織でも稀有(けう)な人材ほど、疎(うと)まれて、失われた時代のように思います。ラオシーも使命を果そうと浅学非才を顧みず、奮闘努力の日々でありましたが、嫉妬と羨望の渦巻く白い巨塔の世界では、妙な野心と曲解され、ずいぶんと残念な思いをいたしました。ちょうどその頃、友人から美しい海峡沿いの僻地の病院で、少し休養しながら、働いたらどうかとの勧めがあり、傷心のラオシーは、藁(わら)をもつかむ思いで、身の回りの家財道具を車に積み、北の大地をめざすフェリーに乗り込むのでした。 (つづく)
ユーカリ血管クリニック
脈管および透析専門医の経験豊富な医師と親切なスタッフが、アットホームな雰囲気で、皆さまのお悩みに向き合います。頚部・胸腹部・四肢の動静脈の疾患(動脈硬化・下肢静脈瘤・静脈血栓症・リンパ浮腫・透析シャント血管)を専門にしております。日帰り治療として、下肢静脈瘤には、血管内焼灼術、医療用接着剤によるグルー治療や硬化療法を、透析シャントには血管拡張術を、いずれも傷跡がなく痛みの少ないカテーテル治療で行っております。