
街路樹はなぜイチョウの木なの?
投稿日 2025.09.11
9月1日は防災の日、その昔1923年9月1日に関東地方を襲った地震(関東大震災)発災日にあたります。ところでこれを読んでいただいている皆様は、関東大震災で亡くなった方々の死亡原因は何かご存知でしょうか?2011年の東日本大震災では90%以上の方が溺死、1995年の阪神・淡路大震災では80%を超える方が建物倒壊等による外傷・圧死ですが、関東大震災では87%が焼死なんです。
関東大震災の震源地はどこかと言いますと・・・神奈川です。震源地付近の方は着の身着のまま避難しましたが、神奈川に比べ揺れが弱かった東京では住宅の損壊が少なく、家財を持って逃げる方々が多くいらっしゃいました。旧陸軍被覆工場跡地といわれる空き地には、約4万人が家財道具を持って避難しました。発災時間が11時58分でお昼時、至る所で火災が発生していました。しかも発災前日には九州地方で台風が発生していて東京はかなりの強風だったと記録されています。とうとう家財に引火し・・・この工場跡地では3万8千人が火災により亡くなりました。大きな火種と強風により火災旋風が発生し東京の9割を焼き尽くしていきます。

ところが焼失を免れた地域が3カ所ありました。1カ所目は皇居、2カ所目は神田佐久間町と和泉町で住民の決死のバケツリレーにより延焼を防いだ奇跡の町と称されています。3カ所目は浅草寺でしたが、なぜ浅草寺が延焼を免れたかといいますと、「浅草寺周囲と境内にイチョウの木が多く植わっていたから」に他なりません。
イチョウの木は非常に多くの水分を含み防火林として機能することが分かり、以降の日本の街づくりとしてイチョウの木を多く植樹することが防火・防災に繋がるため、町の街路樹にはイチョウの木を使用するようになったのです。確かに、秋になるとかなり強烈な臭いがすることは否めませんが・・・銀杏の皮に含まれる酪酸とエナント酸が混ざり合い、蒸れた足の臭いが漂います。しかし、防火林という重要な役目を担っていますのでどうか大目に見てあげてくださいね。

そして11月5日は津波防災の日、これらの制定は防災意識を高めるきっかけを作ってくれます。聖隷佐倉市民病院では防災委員会を設置し、防災資格を持つ職員が中心となり、年に複数回防災訓練や防災講話を行い、当院を利用される全ての皆様が安心・安全に過ごせるよう防災を常に意識できる病院としても機能してまいります。
医師 鈴木 繁
防災委員、防火・防災管理講習修了、自衛消防業務講習修了、防災士