
生殖腺防護シールドが廃止に!?~放射線検査の“いま”をわかりやすくご説明します~
投稿日 2026.02.26
レントゲンなどの放射線検査と聞くと、「体への影響は大丈夫?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
放射線検査は、患者さんの安全と効果的な医療を最優先に考え、医療の進化に伴った最新の検査技術を取り入れています。日本の専門団体では、最近の国際的な提言や欧米諸国における生殖腺遮蔽(隠す処置)の声明文を鑑み、生殖腺遮蔽を行わない方針について検討してきました。
最新の科学的根拠と国際的な動向に基づき、患者さんからの信頼維持と患者さんおよび医療従事者の利益を最大にするため、生殖腺遮蔽の廃止を推進することとなりました。
参考:公益社団法人 日本診療放射線技師会「正しい放射線の知識」
生殖腺防護シールドについて学ぶQ&A

Q1 生殖腺防護シールドとは何ですか?
A1 生殖腺防護シールドは、放射線検査(X線撮影など)の際に、生殖腺(卵巣や精巣)が被ばくすることを防ぐ目的で、卵巣や精巣の位置を推定して体の上に置く防護具です。
かつては将来生まれてくる子どもへの遺伝的影響をできるだけ最小限にするため、長い間使用されてきました。
Q2 生殖腺防護シールドを使用する問題点は何ですか?
A2 生殖腺への被ばくを防ぐ目的で使用していた生殖腺防護シールドですが、下記の問題点があります。
- 重要な臓器がシールドにより隠れてしまう可能性があること
- シールドが画像に影響し、再撮影が必要になる場合がある
再撮影が必要になると、検査時間や待ち時間が長くなるだけでなく、余分な被ばくを招いてしまうなど、患者さんにとって負担が大きくなってしまいます。
2021年に日本放射線技術学会放射線防護部会の生殖腺防護検討班が行った調査によると、多くの医療現場で「生殖腺防護シールドの影響で再撮影が必要となった」という報告がされています。
現在の技術の進歩と安全性
レントゲン撮影に使用される放射線量はX線が発見された1895年頃と比較すると、撮影装置の進歩により「400分の1」まで減っています。
さらに、最新のX線撮影装置では
- 撮影部位や体格に応じて放射線量を自動的に調整するセンサーが搭載
- 以前と比べ、少ない放射線量でより良い画像を提供
逆にシールドを用いることで、自動調整が正常に働かず、放射線量を増やしてしまう可能性があります。これに伴い、生殖腺防護シールドの使用はもはや有益とはいえなくなってきました。
当院の取り組みと検査を受ける皆さんへのお願い
当院では、最も放射線の影響を受けやすい小児を含め、すべての患者さんに対し、骨盤部を含めたレントゲン撮影において生殖腺防護シールドを原則廃止しております。
ただし、心理的不安が強い場合は、診断に影響が出ないかを医師と放射線技師が検討したうえで、シールドの使用を検討することも可能です。シールドの使用をご希望される場合は遠慮なくスタッフにお声かけください。

放射線技師(防護委員会) 石田