発酵関連の産業が盛んだった江戸時代、醸造業を担った事業者たちは単なる商売人ではなく、地域経営に大きな影響を与えました。醸造業を中心に事業の多角化が進められ、中には金融業を同時に営む醸造事業者も多く、佐原の地域経済を支え、経済のエンジンとなりました。また、伊能家を筆頭として、酒や醤油を営んだ事業者は大店として総合商社化し、経営者は地域を担う旦那衆となりました。江戸時代における佐原の祭礼を担った中心的人物の多くは旦那衆であり、発酵文化が大祭を支えていたとも言えます。伊能家と旦那衆の存在が支えてきた地域経済は、今もなお佐原のまちに引き継がれています。当時の伝統を脈々と受け継ぐ佐原の大祭が今夏も開催されます。発酵フレンチや発酵かき氷、甘酒などとともに佐原の歴史と食文化をお楽しみください。