
思いきりはNG?体に優しい「鼻のかみ方」
投稿日 2026.03.26
花粉症や風邪の季節、鼻づまりや鼻水でつらい思いをされていませんか?
「早くすっきりしたい!」と、つい強く鼻をかんでしまう方も多いと思います。
しかし、鼻のかみ方を間違えると、耳の病気など思わぬトラブルにつながることがあります。
今回は、鼻の仕組みと体に負担をかけない鼻のかみ方についてわかりやすくご紹介します。
鼻をかむとき、体の中で何が起きている?
鼻をかむ時は、お腹に力(腹圧)入れ、肺で吸い込んだ空気を鼻から出し、鼻腔内(鼻の穴から喉(のど)に続く鼻の内部の空間)に貯まった鼻水を鼻から外に出す作業です。
鼻の入り口を抑えながら鼻をかむと呼気の通路が狭くなり細いストローを吹いた時のように圧力が高くなり、多くの鼻汁が排出されすっきり感が高まります。主な呼気排出路は鼻孔ですが、圧が高くなると通常は閉じている鼻と耳をつなぐ耳管と呼ばれる管が押し広げられ、鼻水が送り込まれるだけでなく中耳に圧力がかかります。
鼻をかみ過ぎて耳が「ツーン」とした経験はありませんか?それは耳に強い圧がかかった証拠です。

強い鼻かみが引き起こすこともある病気
●中耳炎
風邪をひくと鼻から喉に炎症が生じ、細菌感染が生じてくると黄色い鼻水や痰が出ることがあります。その状態で強く鼻をかむと、中耳に送り込まれ中耳で細菌感染が起き、中耳炎になり難聴や耳痛が生じます。抗生剤で改善することが多いですが、場合によっては鼓膜切開の処置が必要になることもあります。
●耳管機能低下や滲出性中耳炎
強い圧で耳管の粘膜が傷つくと、耳の中の水分をうまく排出できなくなります。その結果、飛行機やエレベーターで耳が痛くなりやすくなったり、難聴が生じたりすることがあります。内服治療が効かない場合には鼓膜換気チューブ留置が必要になります。
●外リンパ瘻
鼻かみの強い圧により、内耳のリンパ液の入った袋が破れ、「ポン」という音と共に回転性めまいや難聴が生じます。入院して手術が必要になる場合もあるため注意が必要です。
今日からできる「体に優しい鼻のかみ方」
では体に優しい鼻のかみ方はどんなやり方でしょうか?ポイントはひとつ、「圧を上げすぎない」事です。
おすすめは、片鼻ずつやさしくかむ方法です。
- 片方の鼻を軽く押さえる
- もう片方の鼻から、やさしく息を出す
- 反対側も同様に行う

圧がかからないためすっきりしないかもしれませんが、一時的な快適さのために耳に負担をかけ危ない病気を引き起こしては大変です。
すっきりよりも「やさしさ」を
鼻をかむことは、日常の何気ない動作です。
だからこそ、少し意識するだけで体への負担を減らすことができます。
花粉や風邪のシーズン、ぜひ「やさしく、片鼻ずつ」を心がけてみてください。
あなたの耳を守る大切な習慣になります。
耳鼻咽喉科 竹内 成夫(タケノウチ シゲオ)