
寒い時期に増える「鼻血」について~慌てないための原因と正しい対処法~
投稿日 2025.12.25
寒さと乾燥を感じる日が増えてきましたが、この時期に起こりやすい疾患が「鼻血」です。今回は寒い時期に鼻血が起こりやすい理由と、いざという時の対処法についてご紹介します。

そもそも鼻の機能とは?
鼻はにおいを感じる器官として知られていますが、実はそれだけではありません。
外からの細菌やウィルス感染を防御し、吸い込んだ空気を加湿して喉を乾燥から守るフィルター付き保湿器の作用もあります。そのような働きを持つため、鼻の入り口は外部からの「乾燥」+「感染」と、体を守るための「保湿」+「免疫」がせめぎ合う場所にもなっています。
冬場は特に乾燥が強く、鼻の中の粘膜が傷つきやすくなります。
「よくある」鼻血 予防のポイントと対処法!


特に鼻の入り口近くの鼻中隔(右鼻と左鼻を分けている真ん中の仕切りの壁)はキーゼルバッハ部位と呼ばれ、粘膜の血管が豊富ですが、鼻の役割があるために鼻の入り口が感染や乾燥で荒れると粘膜が痛んで出血しやすく、「よくある」鼻血になるわけです。鼻をいじったりこすったりすると余計粘膜を痛めて鼻血が出やすくなります。また、脳梗塞後や心疾患で抗血小板薬、抗凝固薬を飲んでいる方は血が止まりにくいだけでなく傷の治りも悪いため出血を繰り返してしまいます。
予防のポイント
- 鼻をいじらない、こすらない
- 乾燥の強い冬場は予防対策としてワセリンを塗る など
正しい対処法 鼻血が出たときは、慌てず落ち着いて対応することが大切です!
- 目の粗いティッシュは使わず、脱脂綿もしくは何も詰めない
- 鼻翼(小鼻)を抑えて10~15分程度しっかり圧迫
- 途中で「止まったかな?」と緩めず、しっかり時間をかけて圧迫

流れてきた血を飲み込むと、気持ち悪くなって嘔吐し血圧が上がり、鼻血が増えるという悪循環に陥ります。できるだけ血は飲み込まず、舌でそっと口から押し出しティッシュなどで拭き取るようにしましょう。
稀に起こる「なかなか止まらない」鼻血
ただ時々大変困った鼻血もあります。一度出ると多量に出てなかなか止まらない出血です。鼻出血の8割はキーゼルバッハ部位からの出血と言われています。圧迫止血でほとんどが止血可能です。しかし、鼻の奥からの出血は圧迫できないため止血が困難です。外傷に伴う鼻出血は大抵自然に止まりますが、自然発生した鼻出血が自然治癒することはあまりありません。
治療法
- 出血している場所がわかる場合には電気メスなどでの焼灼(しょうしゃく)止血
- 出血している場所が不明な場合にはガーゼパッキングして数日後に抜去
といったやり方があります。
正しい知識を知っておくことで、いざという時も落ち着いて対応できます。
気になる症状が続く場合は、無理をせず早めに医療機関にご相談ください。
耳鼻咽喉科 竹内 成夫(タケノウチ シゲオ)