
二人の主治医で支える診療スタイル~地域と病院が連携する「二人主治医制」~
投稿日 2025.12.11
二人主治医制とは?
患者さん一人に対し、地域のクリニックと病院が「二人で主治医」となり協力して診療にあたる取り組みです。
例えば、整形外科で扱う病気の中には、手術や注射だけで治るものは多くありません。骨粗しょう症や、腰や膝の痛みなどは治療が長期間にわたることが多く、手術後のリハビリや薬の継続が必要になります。しかし、すべての診療を中核病院だけで行うのには限界があり、地域のクリニックと協力して治療を進めることで安心して治療を続けられる体制を整えています。

これまでの課題
これまでは、クリニックから病院に紹介されると主治医が病院の医師に代わり、病状が落ち着くと再びクリニックに戻る、という流れが一般的でした。
しかし、患者さんによっては「病院から切り離された」と感じてしまい、クリニックへの通院につながらないケースといった課題や医療側も紹介状の作成などに手続き面での負担があり、連携がスムーズに進まないことがありました。
二人主治医制のメリットって?
二人主治医制では、退院後や外来通院中の患者さんに対して、病院とクリニックが協力して治療を続けます。
たとえば整形外科の手術を受けた患者さんの場合、
病院 高度な画像検査や治療、神経のチェックなど専門的なフォロー
クリニック 初期治療やリハビリ、薬の定期処方
といった病院とクリニックで適切な役割分担を行い、二人の医師が連携し診療に関わります。

これにより、治療の中断(ドロップアウト)の防止にもつながり、よりきめ細かな診療を行うことが可能になります。
当院での取り組み
当院の整形外科でも「二人主治医制」の仕組みを取り入れています。
なお、この取り組みは整形外科のすべての患者さんを対象としているわけではありません。
- 手術を受けた方
- 退院後にリハビリや骨粗しょう症の薬を継続する必要がある方
など、限られた患者さんが対象です。また、担当医により実施状況が異なりますので、ご希望の方は診察時に主治医へご相談ください。

当院では、地域のクリニックの先生方と協力しながら患者さんが安心して治療を継続できるような体制作りを進めています。
二人の主治医が寄り添うことで、長い治療も負担感なく続けられる、より安心できる地域の医療を目指してまいります。
聖隷佐倉市民病院 整形外科 飯島 靖(いいじま やすし)
主な専門領域:脊椎・脊髄外科・側弯症